LTV(ライフタイムバリュー、顧客生涯価値)を高めるためには、リピート率と客単価の向上が欠かせません。
特にリピート率の重要性については、フレデリック・F・ライクヘルドが「既存顧客の維持コストは新規顧客獲得コストの5分の1である」と述べた1対5の法則、そして「顧客離れを5%減らすことで利益が25%以上向上する」とする5対25の法則を提唱しています。
本記事では、リピート率の向上に焦点を当て、さらに顧客単価の向上についても詳しく解説していきます。
この記事で得られる情報
- リピート率を上げるためには、「応募条件」や「パスワードを設定」の機能を活用した限定クーポンの発行、週に1回のクーポンPUSH、およびセールイベント時のSNSでの情報発信が有効です。
- 客単価を上げるためには、「カートクーポン」の条件に合わせた商品企画、「プラスオプション」の活用、および「セット割引」の設定を推奨します。
目次
1.リピート率を上げてLTVの最大化
1.1 週に1回「クーポンPUSH」の活用
「クーポンPUSH」とは、メールとスマホのプッシュ通知でショップクーポンの発行をお客さまにお知らせする機能です。週に1回、無料で利用できます。
クーポンPUSHは、ショップをお気に入り登録した「フォロワー」の方に直接クーポンを送ることができるため、フォロワー数を増やすことは、新規顧客の獲得とリピート購入の率を高めることにつながります。
フォロワー数を増やす方法として、「ショップクーポン」を設定する際、応募条件(利用条件)で「お気に入りのショップに追加したお客様」を選択し、あなたのショップをお気に入り登録したお客さまだけが利用できるお得なクーポンを発行しましょう。
繁盛店の中には、「メガ割」や「メガポ」などのセールイベント時にフォロワー向けのショップクーポンを発行し、通常時の4.1倍フォロワーを獲得した例もあります。
フォロワーを増やすには、全てのお客さまが使えるクーポンの発行と同時に、「購入金額1,000円以上で10%引き」といったより魅力的なクーポンをフォロワー限定で発行することが効果的です。
増やしたフォロワーに対して、週に1度「クーポンPUSH」を発行しましょう。定期的にアプローチできる方が多いほど、リピート数は増え、売上の安定化にもつながります。
1.2 パスワードを設定した限定クーポンの発行
ショップクーポンには、パスワードを設定し、限られたお客さまのみが割引価格で商品を購入できるようにする機能があります。
パスワードの取得方法は、ショップや商品ページ内で明確に示すことが大切です。例えば、LINEの公式アカウントの友だち追加をすることでパスワードをお知らせしているショップもあります。
LINEを活用してセールや新商品の情報を定期的に発信し、その情報を受け取るお客さまが増えることで、顧客ロイヤルティを高め、リピーターの増加に貢献します。
1.3 セールイベント時にSNSで情報発信
リピーターを増やすためには、普段からSNSで商品やイベントの情報をファンに向けて発信することも重要です。
以下は人気の韓国コスメ「MILK TOUUCH」さまがメガ割前日、初日、最終日に投稿したX(旧Twitter)の例です。気になるアイテムについての質問やプレゼント情報、メガ割限定のセット商品がお得に購入できることを告知しています。
購買行動のパターンは、一般的に衝動買いと目的買いに分けられますが、Qoo10会員の大多数を占めるZ世代は、好景気を経験していないことも影響し、賢い消費を強く意識する世代と言われており、SNSや商品レビューをしっかりと吟味して商品を購入する傾向があります。
以下は分析ツール「Qoo10 Analytics」の「トラフィック/コンバージョン」から確認できる商品ページへ流入する「上位のチャネル」を示したものです。
売上の高いショップに見られる特徴として、お気に入りやカートに追加された商品、あるいはブラウザのブックマークに追加された商品など(ダイレクト)が、セールイベントやプロモーションの際に再度アクセスされる割合が高いことが挙げられます。
メガ割やメガポの前にSNSを通じて情報を積極的にお客さまに提供することは、お客さまが商品をお気に入りやカート、ブックマークに追加するきっかけになります。これにより、これらの商品が将来的に購入される確率が上がり、結果としてリピート率の向上に貢献します。
2.客単価を上げてLTVの最大化
2.1 「カートクーポン」の条件に合わせた企画を増やす
LTVを最大化させるためには、客単価を上げることも不可欠です。Qoo10が発行しているカートクーポンの条件に合った商品を増やすことで、客単価を上げることができます。
QSM(Qoo10の販売管理ツール)の「お知らせ」から翌月のカートクーポンスケジュールの情報を確認できます。期間によっては、「3,000円以上で10%割引」などの割引条件が異なります。これらの条件に合わせて、人気商品をセット販売することやまとめて福袋の企画にすることは、成功しているショップが行う典型的な施策です。
カートクーポンに合う商品を増やす際の注意点として、割引の条件は商品価格にのみ適用され、送料は含みません。例えば、3,000円で10%割引のカートクーポンを使用する場合、商品価格2,000円、送料1,000円の商品Aでは決済金額が3,000円でもカートクーポンは適用されません。
商品価格3,000円で送料無料の商品Bの場合は、カートクーポンを使って2,700円で購入することができます。このルールをしっかりと理解して、カートクーポンも賢く活用しましょう。
2.2 「プラスオプション」を上手に活用
客単価を上げる2つ目の方法は、オプションの価格を最大+50%まで設定できる「プラスオプション」を利用することです。以下の「デコ姫」という商品では、プラスオプションの機能を使い、5㎏に加え、10㎏や15㎏も選べるようになっています。
プラスオプションのルールとして、商品ページに記載されているものが実際は購入できず、プラスオプションの価格でしか選べない設定(例えば、記載のある「デコ姫5㎏」は購入できず、10㎏と15㎏のみ購入可能な設定)や、記載内容と関連性のない商品をオプションに入れること(デコ姫とは関連のない食器やグラスなどをオプションにすること)は禁止されていますので、注意してください。
また、プラスオプションを設定するメリットとデメリットがあります。メリットは、レビューがたまりやすいこと、ランキングに入りやすいこと、広告効果が高くなることです。さらに、1度購入した方が、「My Qoo10」の購入履歴からアクセスする際にアップセルにつながりやすいことが挙げられます。
逆にデメリットは、プラスオプションが設定されている商品は、設定されていない商品に比べて注文時に加算される「Q Rankポイント」が低いため、検索時の表示順位が不利になる可能性があります。デメリットも把握した上で、上手にプラスオプションを活用している商品が多くあります。
2.3 「セット割引」を設定しアップセル、クロスセルを促す
客単価を上げるための3つ目の方法は、「セット割引」を利用してアップセルやクロスセルを促すことです。
セット割引の特徴としては、割引を適用する商品を個別に選ぶことができ、割引の条件を価格や数量に応じて設定することが可能です。例えば、「3,000円以上の購入で100円引き」や「3点購入で100円引き」といった割引を行うことができます。
価格や数量に応じた割引を活用することで、関連商品を一緒に購入してもらうクロスセルや、お客さまに気に入ってもらった商品をまとめて購入してもらうアップセルを促進しているショップもあり、客単価アップにつなげています。
まとめ
今回の記事では、LTVを高めるにリピート率と客単価の向上が重要であることを解説しました。リピート率を上げるためには、定期的なクーポンPUSHの使用、割引率の高い限定クーポンの発行、そしてSNSでの情報発信が効果的です。特にクーポンPUSHはフォロワーに直接クーポンを送ることができ、リピート率を向上させます。
フォロワーやパスワードを知っている方々に向けた限定ショップクーポンや、SNSを通じたセールや新商品の情報告知は、リピーターを増やすのに役立ちます。
一方、客単価を上げるためには、カートクーポンの条件に合わせた商品の企画、プラスオプションの活用、そしてセット割引の設定がおすすめです。これらの施策は、客単価の増加に貢献し、結果としてLTVの向上につながります。成功しているショップはこれらの手法を理解し、上手に活用しています。ぜひ試してみてください。